夏が去っていくのを、わたしはふたつの目で、じっと見つめていたはずだった。
映画よりも、文学よりも、いまのわたしにはそういうことのほうが100倍大切で、酸素と同じくらい大切で、一瞬でも目をはなそうものなら、すべて失ってしまいかねない。
だから、ただただじっと、前をおよぐ魚の尾ひれをつかもうとするように、じっと見つめていたのだけれど、気がつけばなぜか、いつのまに、あなたの尾ひれはひるがえっていて。
そして空は高く日差しは時がとまったような色、おおらかな風、雲がながれ秋桜が揺れている。
わたし、どんな顔をしていれば良いのやら。
だれかに「泣いてもいいんだよ、」とか言われれば、泣ける。たぶん。
でも、それでいいのかわかんないし、結局、「はい、」とか「いやいや、」とか、そういうような返事しかできない気もする。かといって、笑っても、微笑んでも爆笑しても、嘘。
なにもわからない、とおくの虚無をみつめるような目をして、季節をやり過ごす。
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