2018年1月1日月曜日

12/17〜12/21

十二月十七日

壁にいろんな影が落ちていた。天井にも。それを右から左へ、ぐるりと見回していくと、窓から伸びた金色の日差しがぴとぴと、細い指で部屋中にさわっていくみたいに、わたしの視線を追い掛けてくる。そういう感じがした。ピアノの音色になりたい。もしこの部屋に今いるのがわたしでなくピアノの音色だったら、すごく自然だったのになぁ、なんて。




十二月十八日

深夜、日高屋に行ったら、お客さんがわたしひとりになってしまった。店員さんはふたりいて、ひとりは恐らく新人さんなのだろう、もうひとりのベテランぽい店員さんに、ばばばばと食洗機の使い方を説明され、はい、はい、と返事をしながら、覚束ない手で食器を下洗いしていた。食器同士がガチャガチャぶつかり合う音や、地獄の装置みたいな食洗機の音、先輩店員が槍のごとく放つ低い声と、新人店員のはい、はい、が店内に積み上げられていくみたいに響き続けて、そこにBGMの呑気なクリスマスソングが重なるから、なんだか生きている心地がしなかった。月曜の夜からこんなふうに浮かない気分でひとり食事している自分が、すごくいやだった。ラーメンの麺はどんどんゴムみたいになって、背中をぼんと叩かれたら泣けそうだった。自分がいるところがあの食洗機の中のように思えてくる。洗浄完了とともに排水口の中にずるずると流れていく。



十二月十九日

夢。トタンの屋根の広い小屋の床面に、一面のヒメツルソバ。ピンク色の丸い花はぽわんと発光していて、小屋の中はわたしの腰高くらいまで黄色い光につつまれている。腰から上はほとんど闇。真っ暗な天井を月に似せた丸いボールがゆっくりごろごろと転がってるのを見て、それがどういう仕組みなのか知りたくて目を凝らしているという、そういう夢を見た。



十二月二十日

特にまわりに人がいないのに大々的に光り輝いているイルミネーションを見ると「えらい!」と思う。特にコンピュータ制御された、たとえば流れ星のように光が流れたり、毎時で音楽とともにリズミカルな点滅を行なったり、波のように色が変化する、などの演出がなされている場面。さらに、そこに可愛らしい熊やサンタクロース、トナカイ他、何かしらのキャラクターがあしらわれているときは一層のこと。都市部からすこし離れた、郊外だけどまぁそこそこなんでも揃ってる大きめな駅まわりで、夜おそい時間によく見かける光景。たとえいま世界が終わったり、その街から忽然と生命が断ち消えるようなことがあっても、光たちは健気に、律儀に、クリスマスの特別なショウを続けると思う。冬の夜のつめたい空気にぴしゃぴしゃになりながら、背中をまるめて歩いてるときにそういうの見ると、えらい、えらい。と悔しくなる。





十二月二十一日

永遠に夜間モードにしていたい




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