十一月二十五日
池袋パルコミュージアムにアンリアレイジの展覧会を観に行く。パリコレ以降の軌跡。正直パリコレ以降のコレクションは、動画やルックを見た限り「フラッシュで光る服」とか「影がしばらく残る服」「力が加わると発光する服」とかどんどん新素材大喜利みたいになっていってる気がしていたのだけれど、実物を見たらそんなこと思ったのが恥ずかしくなるくらいとても美しい服たちだった。決して特殊な素材ありきの製作ではなく、まず言葉、テーマからはじまっていて、そのテーマは服が衣服として在ることを超えて何ができるか、ひとつの問いに落とし込まれていく。そしてここではじめて必要となるのが例の新しく珍しい素材たちで、それらは問いの解法として求められ、生み出され、用いられて答えになっていく。素材の珍しさやインパクトがすべてではないことが、実物の服を見ればわかる。「影」がテーマの服の影は記憶に染み付いた美しい木陰のように、「光」がテーマの服に宿された光はやっと見つけた希望のような姿だった。
パリコレブランドになって、一気に遠く高いところに行ってしまったような気がしていたけれど、決してそうではなかった。アンリアレイジが生まれるきっかけになったある一日から想いもたくらみもずっと変わらず進むことを続けて、そうして今いるところがパリなんだなと思った。これからもたのしみ。
十一月二十六日
サイゼリアでとなりに座った家族連れ。おかあさん「あんたたちなににするの?」少年「おれミトコンドリアー!!」少年の弟「おれもー!!」おかあさん「ミラノ風でしょ、なんだっけミトコン、って」おとうさん「魚だよ。おまえらピザたべる?」という会話で、わたしの頼んだサラダの小エビが全員隣のテーブルを見た。
十一月二十七日
100均で吹き矢のおもちゃを買う親子。少年「でもちょっとこれ長くてめんどくさいなぁ」少年のおとうさん「吹き矢はそういうもんなんだよ」少年「でも長いと、さりげなくしてもバレるじゃん」おとうさん「もしかして、近距離戦を想定してる?」
サイゼリアに行った帰り道マフラーからサイゼリアのにおいがする、気がする。
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